2022年9月29日木曜日

『狼をさがして』上映会参加者の感想①

 9/24に『狼をさがして』上映会を私たちで企画した。台風の影響で、話を伺う予定だった支援連の平野さんの到着に遅延が発生するなどトラブルもおきたが、映画や平野さんのお話、それをめぐる討論などが活発に行われた。秋中に発行予定の『レーテ』vol.3において詳細報告記事を掲載予定である。さしあたり、参加者の感想を以下掲載する。

☆「狼を探して」上映会とその後の討論会の感想について(k)

私は今回,「狼を探して」という映画の上映会に参加した.この映画は,過去,東アジアに対して新植民地主義的経済侵略を行う日帝企業を連続で爆破していった東アジア反日武装戦線について描いた映画である.この映画を上映した後の討論会では,なぜ,彼らは,連続で企業を爆破するという,人民の命すらも軽視するような計画を実行してしまったのか?ということが討論になった.その討論の中で,そのような爆破事件があった1970年代は,高度経済成長により,日本社会全体が豊かになっていっているため,彼らは,そのような中で労働者人民を組織化し,プロレタリア革命を起こしていくというようなレーニン主義的な革命論に諦めを感じ,焦ったために,そのような計画を実行してしまったのではないかという意見が出た.確かに,その理屈は一理あると思ったが,その理屈に則ると,新自由主義により,社会全体が貧困化している日本の現状は,レーニン主義的な革命が起こしやすい状況であるということになる.しかし,現状,そうなっていない.それどころか,現在の日本は,そのような貧困に対する不満の声を自国の資本家ではなく,他国の人民に向けさせるような策動を右派だけでなく,リベラルもまでもが行い,そのような策動を多くの日本人民が支持して,明らかに日本社会全体は右傾化している.そのような状況の中で,時代背景は違うものの,日本人民に対する諦めを感じているという点では,私と東アジア反日武装戦線は共通しており,私自身,労働者の組織化という過程をすっ飛ばして,そのような計画を実行したくなる気持ちは痛いほどわかった.しかし,東アジア反日武装戦線のメンバーの1人である大道寺将司さんは,連続企業爆破の1つである三菱重工爆破事件について思想的な未熟さがあったと自己批判している.私は,そのような大道寺さんの自己批判を通して,日本人民に対する諦めがあったとしても,彼らと同じ轍を踏むべきではないと思ったし,今回の上映会と討論会は,そのような戒めを再確認するためのいい機会となった.

2022年9月6日火曜日

キム・ミレ『狼をさがして』上映会+トークのお知らせ

 ☆キム・ミレ『狼をさがして』上映会+トーク企画

1970年代に爆弾闘争をもって戦争/戦後責任、新植民地主義といった日本の現在と過去を問うた東アジア反日武装戦線。そのメンバーと周囲の足跡を追ったドキュメンタリー映画である『狼をさがして』(キム・ミレ/2020)の上映会を、『狼をさがして』上映運動事務局の提起するミニ自主上映会運動のよびかけに応えて、関西コミュニズム研究会で9月24日(土曜日)に企画する。そして、上映とあわせて、この映画にも出演しており、武装戦線の獄中者救援活動に長年携わってきた平野良子さん(東アジア反日武装戦線への死刑・重刑攻撃とたたかう支援連絡会議)のお話を伺いつつ、感想交流・討論を行っていく。

☆「機関銃のように言葉が必要だ」

今日の情勢において、例えば安倍晋三前首相への「私闘」から大きく話題となった統一教会をめぐって政敵への<反日>という言葉が、もはや「ネトウヨ」にかぎらず氾濫している。ここには朝鮮半島への蔑視さえ反映されている。この使い方が、自ら<反日>を名乗った東アジア反日武装戦線とは大きく異なるのはいうまでもない。戦争ー戦後責任を曖昧にしたまま、米中対立を背景に独自の軍事化を日本が進めている今、改めて武装戦線の、日本とアジアの関係への問いを再検討する必要がある。また、戦線が直接攻撃=虹作戦を計画した天皇制は依然として存続し、入管体制や獄中者処遇改悪といった社会の監獄化がすすんでいる。さらに、武装戦線メンバーは死刑・重刑の下、何十年も獄中におかれている。上映会や討論を通して過去のみならず、以上のような現在を問う契機としたい。

ところで、1980年代から現在でも上映運動が続けられており、東アジア反日武装戦線とも接点のある寄せ場の闘いを撮ったドキュメンタリー映画『山谷(やま) やられたらやりかえせ』について、監督・山岡強一は「この映画には、機関銃のように言葉が必要だ」と述べたという。『狼をさがして』上映会も、「機関銃のように」言葉を交わし、過去と現在、見るものと見られる側、語る側と語られる側の、共同作業を進める可能性をさぐる機会ともなれば幸いである。


(関西コミュニズム研究会・u)

2022年9月8日加筆修正

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